Liber LXV

Liber Cordis Cincti Serpente

by Aleister Crowley

/ Introduction / I / II / III / IV / V / Back to "Contents" /

「蛇に巻かれし心臓の書」

アレイスター・クロウリー著

Translated and designed by Hocuspocus

この文書はLIBER LXV: Liber Cordis Cincti Serpente (第65の書「蛇に巻かれし心臓の書」) の日本語訳です。 底本として、
Crowley, A., The Holy Books of Thelema(Equinox Vol.3, No.9), Samuel Weiser, INC (1988).
の51ページから83ページに載っているものを用いました。 また、単純な誤訳を避ける為、 国書版「霊視と幻聴」pp.267-297の同書の翻訳も参考にさせていただきました。 インターネット上で閲覧出来る第65の書は、例えば下記にあります。
http://www.sacred-texts.com/oto/lib65.htm

参考の為、 前掲書のxxixページからxxxページ にかけて記述されているこの 「書」 のクロウリー自身による解説の日本語訳を以下に載せておきます。


リベル・コルディス・チンクティ・サーペンテ

「参入志願者」 と彼の 「聖守護天使」 との関係についての説明である。 この書は、 「聖守護天使」 への 「理解と会話」 の達成が 「外陣」 で学なぶ 「最高のもの」 であるが故に、 プロベイショナー に与えられるものである。 同様に 「第7の書」 は 「神殿の首領」 が次の休憩場所の位階であるが故に ニオファイトに与えらえ、 ジェレイター には志願者を可能な限り最も高い位階へと運んでくれる 「第220の書」 が与えらえる。 また 「第27の書」 は最も高度な理論的カバラの究極の基礎が記されているが故に プラクティカス に与えられ、 更に 「第813の書」 は最も高度な実践カバラの基礎であるが故に フィロソファス に与えられる。(原注1

蛇に巻かれし心臓の書

この魔術の論文は特に 「参入志願者」 と彼の 「高次の自己」 との関係について記述している。 この書は、 概念の上においても実践の場合においても同様に、 「純粋な美しさ」に彫り込まれた、 思考の高揚の傑作なのである。 (原注2

5つの章は5つの「元素」に言及している。 1―「地」、2―「風」、3―「水」、4―「火」そして5―「霊」である。 「小達人」と彼の「聖守護天使」 との間の関係がもたらす光明の中で、 各々の章がそれらの 「元素」を表しているのだ。 (原注3

この書物の注解は万人には隠されており、 「輝ける三角形」だけが保管している。
しかしながら プロベイショナー はこれを手に入れ、 よく理解せねばならないのである。 彼は一つの章を暗記しなければならない。 (原注4

LXV 「主」の数字。


以下、 この「書」全体に対する私なりの注解を少しだけ。

この「書」には色々な象徴が含まれていますが、 その中には英語で読まなければ分からないものも少なくないと思います。 (「法の書」にはその様な箇所が幾つかある、 と聞いた事があります。) 従ってこの訳文で大意を掴んだ後は、 出来るだけ原文を読まれる事をお勧め致します。

また、基本的に固有名詞と文頭にある単語以外の大文字で始まる名詞は 「」 でくくる様に致しました。 その強調の意味を考えるのも一つの糸口だと思います。

また、各章には私なりの訳注がありますが、 これは、魔術の初心者に対する用語解説、及び 私が 「訳文を決める上で元の文章をどの様に会釈したか」 を示す為に記述したものであって、 この「書」の内容そのものを解説する為のモノではない、 という事を付け加えておきます。

私の拙い訳がどれだけのモノを伝えられるか、 はなはだ心許無いのですが、 この訳が日本の魔術を学ぶ方々にとって、 多少なりとも助けとなれば幸いです。
誤訳の指摘等ありましたら是非お寄せ下さい。


原注

  1. Crowley, A., < < A Syllabus of the Official Instructions of A.:A.: Hitherto Published > >, The Equinox I (10), 1913(reprinted York Beach, ME: Weizer 1972), pp. 43-47.
  2. Crowley, A., < < Praemonstance of A.:A.: > > and < < Curriculum of A.:A.: > >, The Equinox III (1), 1919, pp. 11-38.
  3. Crowley, A., Preliminary Analysis of Liber LXV, I:1;
    cf.
    Thelema (Kitchener, Ont.: Alexander Watt 1952).
    Sothis I (St. Albans, 1975).
    The Equinox V (2) (Nashville: Thelema, 1979).
  4. Thelema (London, privately printed, 1909), 3vols.
  5. Crowley, A., < < Syllabus > >, pp. 53-56.

訳注

  1. プロベイショナー

    クロウリーの魔術結社A.:A.:における0=0位階の名前。
    G.:D.:におけるニオファイト位階に相当する。

  2. 「神殿の首領」

    「Master of the Temple」。 GD系結社の8=3位階、マギスター・テンプリの事。

  3. ニオファイト

    クロウリーの魔術結社A.:A.:における1=10位階の名前。
    GDにおけるジェレイター位階に相当する。

  4. 「第220の書」

    「法の書」の別名。

  5. ジェレイター

    クロウリーの魔術結社A.:A.:における2=9位階の名前。
    GDにおけるセオリカス位階に相当する。

  6. プラクティカス

    GD系結社における3=8位階の名前。

  7. フィロソファス

    GD系結社における4=7位階の名前。

  8. 1―「地」、・・・5―「霊」である。

    「外陣」の位階 (0=0から4=7) に対応する生命の木のマルクトからネツァクまでのセフィロト、 及び5=6の位階に対応するセフィラ、 ティファレトとの各元素との照応を参照の事。

  9. 「輝ける三角形」

    多分A.:A.:の印の事だと思うのだが自信は無い。

  10. 「主」

    「Adonai」はヘブル文字ではADNI (英語の等価文字を使用) と書くので、 後はヘブル語のゲマトリアを使って数値を出してみれば分かるでしょう。


Introduction / I / II / III / IV / V / Back to "Contents"
/ 訳者を吊るし上げる際はこちらにどうぞ /


本文書の著作権及び再配布条件について

本文書の著作権はHocuspocus(cpyrght@hocuspocus.sakura.ne.jp) が保有するものである。

本文書を、 必要最小限のフォーマットの変更を除いて改変又は編集する事無く、 非営利目的に使用する場合、 この著作権についてのフッタを付けていれば、 自由に複製及び再配布する事を許可する。
(詳細についてはhttp://www.hocuspocus.sakura.ne.jp/cpyrght.htmlを参照の事。)

それ以外の場合は上記権利者に問い合わせる事。